労働基準法
「みなし労働時間制」とは、その日の実際の労働時間にかかわらず、その日は予め定めておいた時間労働したものとみなしてしまう制度。この「みなし労働時間制」には、次に掲げる3種類の制度がある。 1:事業場外労働時間のみなし労働時間制 2:専門業務型裁量労…
■資格割増率(法37条1項、2項、4項、法附138条、則20条、割増賃金例) 1)割増率 「使用者が、臨時の必要又は三六協定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働の賃金の計算…
■三六協定 1)三六協定の締結・届け出(法36条1項) 「使用者は、労使協定をし、これを行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出た場合においては、法定の労働時間又は法定の休日に関する規定にかかわらず、その協定で定める所によって労働時間を延長し、又…
■災害などによる臨時の必要がある場合(法33条の1項、2項) 1)災害などの場合の時間外・休日労働(法33条1項) 「災害その他避けることの出来ない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けて…
■時間外・休日労働に該当しないもの 労働者が所定労働時間(就業規則に定める労働時間)を超えて残業したり、所定休日(就業規則に定める休日)に出勤したとしても、法定労働時間や法定休日を超えない場合には、労働基準法上の「時間外・休日労働」ではない…
■休日の付与 「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなけれればならない。この規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない」とされる。なお、日曜日や祝日を休日としなくても、本条違反とはならない。 ※4週間…
休憩は、「1:労働時間の途中に、2:一斉に与え、3:自由に利用」させなければならず、これを「休憩の3原則」という。ここで大切なのは、この3原則の「例外」にある。 ■休憩時間 「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超え…
■採用要件(法32条の5,1項、3項、則12条の5,1項、2項) 「使用者は、日毎の業務に著しい繁閑の差が生じることが多く、かつ、これを予測した上で修行規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる小売業、旅館、料…
■採用用件(法32条の4,1項、4項) 「使用者は、労使協定により、所定の事項を定めたときは、その協定で対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、当該協定で定めるところにより、特定された週において40…
■採用用件(法32条の3、則25条の2,3項) 「使用者は、就業規則その他これに準ずる者により、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることとした労働者については、労使協定により、所定の事項を定めたときは、その協定で精算時間とし…
■採用条件(法32条の2、則25条の2,2項) 「使用者は、労使協定により、又は就業規則その他これに準ずるものより、1ヶ月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間(特例事業は44時間)を超えない定めをした場合においては、その定めにより、特…
変形労働時間制は、労使が労働時間の短縮を自ら工夫しつつ進めていくことが容易となるような柔軟な枠組みであり、労働者の生活設計を損なわない範囲内において労働時間を弾力化し、週休2日制の普及、年間休日日数の増加、業務の繁閑に応じた労働時間の配分な…
「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1周間について40時間を超えて、労働させてはならない。1週間の各日については、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない」とされる。 ただし、1周間の労働の上限については、商業、映画・演劇(…
■労働時間の定義(最高裁判判例他) 労働基準法32条の「労働時間」とは、使用者の明示又は黙示の指示によって、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう。労働時間に該当するかどうかは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価…
■法41条該当者 「労働基準法で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次のいずれかに該当する労働者については適用しない。 1:農業又は水産・養蚕・畜産業に従事するもの 2:事業の種類にかかわらず監督もしくは管理の地位にあるもの又は機密の事務を…
「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金保障をしなければならない」とされる。 ※当該保障においては、少なくとも平均賃金の60%程度を保障することが妥当であると解される。
「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」とされる。 なお、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するかどうかを整理すると、次の…
「未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年の賃金を代わって受け取ってはならない」とされる。
「使用者は、労働者が出産、疾病、災害などの非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払日前日であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない」とされる。 ここでいう、「非常の場合」とは、労働者又はその収入によって生計…
賃金は、「1:通貨で、2:直接労働者に、3:その全額を、4:毎月一回以上、5:一定の期日を定めて」支払わなければならないことになっており、これを賃金支払5原則という。もっとも、学習する上で大切なのは、この5原則の「例外」を理解することにある。 ■通貨払…
■平均賃金の算出法(法12条1項本文・2~4項) 1)基本的な計算式(法12条1項本文・2項) 「労働基準法で平均賃金とは、これを算出するべき事由の発生した日(賃金締切がある場合においては、直前の賃金締切日)以前3ヶ月間にその労働者に対し支払われた賃金の…
「労働基準法で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払う全てのものをいう。」とされる。以下、賃金に該当するかどうかが問題となるものを順に考察する。 ■退職手当、祝い金・見舞金など 退職手当…
「法20条の解雇予告規定は、次の労働者については適用しない。ただし、それぞれ次の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りではない。」とされる。 解雇予告の適用除外者>> ・日々雇い入れられる者 ・2ヶ月以内の期間を定めて使用…
■解雇予告と予告手当(法20条1項前段、2項) 「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わねばならない。」とされるが、さらにこの…
■解雇制限期間(法19条1項前段) 「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。」とされる。 なお、「解…
「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求が合った場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。これらの賃金又は金品に関して争いが…
■証明書の交付(法22条1項~3項) 「1:労働者が、退職の場合において、試用期間、業務の種類、その他事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞な…
「親権者又は後見人は、未成年者に代わって労働契約を締結してはならない。親権者もしくは後見人又は行政官庁(所轄労働基準監督署長)は、労働契約が未成年に不利であると認める場合においては、将来に向かってこれを解除することができる。」とされる。
会社に雇う条件と社内預金をさせるようなこと(強制貯蓄)は禁止されている。逆にいうと、そのような条件がなく、労働者の委託を受けて社内預金をするようなこと(任意貯蓄)は禁止されていない。ただし、任意貯蓄といっても、労働者の金銭を預かる(管理す…
「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の再建と賃金を相殺してはならない。」とされる。禁止されているのは、労働することを条件とする前貸債権と賃金を使用者の側から相殺すること。労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融や弁済…