社会保険労務雇用関連疑問悩み問題解決

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解雇予告(法20条)

解雇予告と予告手当(法201項前段、2項)

 「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わねばならない。」とされるが、さらにこの「予告日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。」とされる。

 つまり、解雇予告と解雇予告手当については、両者を併用することができる。例えば、20日分の平均賃金を払うのであれば、10日前の解雇予告でも足りる。

 ※解雇予告と同時に休業を命じ、解雇予告期間中は平均賃金の60%の休業手当しか支払わなかった場合でも、30日前予告がなされている限り、その労働契約は予告期間の満了によって終了する。

 

1)解雇予告

解雇の予告においては、解雇日について、「○年○月○日の終了をもって解雇する」などと特定しておかねばならない。また、予告期間の30日間は暦日で計算し、その間に休日又は休業日があっても延長しない。例えば、531日に解雇するためには、遅くとも51日には解雇予告をしなければなりません。ただし、すでに述べたように、解雇予告と解雇予告手当については、両者を併用することができるので、531日解雇する場合であっても、20日分の平均賃金を支払えば、521日までに解雇予告することで足りる。

 ところで、解雇予告をしてその予告期間が満了する前に労働者が業務上の傷病の療養のために休業した場合はどうなるでしょう?法19条の解雇制限の適用があるので、制限期間中の解雇はできないことになる。ただし、その休業期間が長期にわたるようなものでない限り、解雇予告の効力の発生が中止したにすぎず、改めて解雇予告をする必要ないとされる(昭和26625日基収2609号)。

 ※解雇の予告はしたものの、解雇予定日を過ぎて労働者を使用した場合には、同一条件で労働契約がなされたものと取り扱われるので、その解雇予告は無効となり、その後解雇しようとするときには、あらためて解雇予告などの手続きが必要となる。

 

2)解雇予告手当

 解雇予告て相手は賃金ではなく、解雇の申し渡しと同時に、通貨で直接支払わなければならない(昭和23818日基収2520号)。

 ところで、しばしば耳にする話で、解雇予告もせず、解雇予告手当も支払われずに、「明日から来なくてもいい」と言ってしまった(即時解雇を通告した)場合はどうなるのでしょう?

 厚生労働省は、このような場合であっても、「使用者が解雇する石があり、かつ、その解雇が必ずしも即時解雇であることを用件としていないと認められる場合には、その即時解雇の通知は30日経過後において解雇する旨の予告として効力を有する。」としている。一方、最高裁は、より進んで、「法20条違反の解雇は即時解雇として効力を生じないが、使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、解雇の通知後30日の期間の経過後から又は解雇の通知後予告手当の支払があったときから解雇の効力が生ずる。」としている。

 ※労働者を使用者の責任において他の事業場へ斡旋就職させた場合においても、当該労働者が任意に退職を申し出ない限り、解雇予告などの手続きが必要となる。

 

解雇予告の除外(法201項但書、3項)

 「1:天災事変がその他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は2:労動者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合」においては、法20条の解雇予告の規定は通用しないとされる。ただし、1:2:の場合とも、「その事由について行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受けなければならない。」とされる。

 なお、派遣労働者について、事業の継続が不可能かあるかどうかの判断は、派遣元の事業につき行われる。

 

 ※即時解雇の意思表示をした後に解雇予告除外認定を受けた場合であっても、その解雇効力は、使用者が(解雇予告除外認定を受けた日ではなく)即時解雇の意思表示をした日にさかのぼって発生する。