社会保険労務雇用関連疑問悩み問題解決

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平均賃金(法12条)

平均賃金の算出法(法121項本文・24項)

1)基本的な計算式(法121項本文・2項)

 「労働基準法で平均賃金とは、これを算出するべき事由の発生した日(賃金締切がある場合においては、直前の賃金締切日)以前3ヶ月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。」とされる。

 なお、条文では算定事由発生日「以前」となっているが、実際には算定事由発生日は含めず、その前日から3ヶ月間で算定する扱いになっている。ただし、賃金締切日があるのが通常なので、平均賃金の基本計算式は、一般的には次のようになる。

 

算定事由発生日の直前の賃金締切日以前3ヶ月の賃金総額

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(除÷

算定事由発生日の直前の賃金締切日以前3ヶ月菅野総日数(総暦日数)

 

2)賃金の総額に参入しないもの

 「賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3ヶ月を超える期間毎に支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。」とされる。

 なお、「3ヶ月を超える期間毎に支払われる賃金」とは、年3回以内の賞与などをいう。ただし、これに該当するかどうかは、その賃金の「支払い期間」ではなく、「計算期間」が3ヶ月を超えるかどうかに酔って決まることにも注意する。例えば、6ヶ月通勤定期乗車券を年2回支給する場合であっても、これは各月分の賃金(計算期間は1ヶ月)の前払いと認められるので、当該乗車券の金額は、「賃金の総額」に含まれない。

 ※通勤手当は、年に2回しか支給されない場合であっても、「3ヶ月を超える期間毎に支払われる賃金」ではない。

 

3)日数と賃金の控除

 「平均賃金の算定期間中に次の期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、平均賃金の算定期間及び賃金の総額から控除する。」とされる。

1:業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

2:産前産後の女性が65条の規定によって休業した期間

3:使用者の責に帰すべき事由によって休業した期間

4:育児休業、介護休業など育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業又は介護休業をした期間

5:試用期間

 

4)算定法のまとめ

 これまでに述べた平均賃金の最低法を整理すると次表のようになる。

  事由発生日以前3ヶ月の給料総額-Aの賃金-Bの期間中の賃金

平均賃金=ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  同情3ヶ月間の総日数-Bの期間中の日数

 

A):臨時に支払われた賃金・3ヶ月を超える期間毎に支払われる賃金・労働協約などに格段お定めのない現物給与

B):業務上疾病療養・産前産後・使用者責任による・育児介護・試用期間による休業期間

 

日給制などの場合の最低保障(法121項但書き)

 「賃金が、労働した日もしくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合」、つまり、賃金が日給制や時給制や出来高払制などで支払われている場合は、労働日数が少ないものについては、賃金の総額を暦日数で除した時に平均賃金が不当に低くなるおそれがある。そこで、このような場合の平均賃金については、「賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60」を最低保障とする。

 

 なお、「賃金の一部が、月、週、その他一定の期間によって定められた場合」、つまり、基本給は日給制などになっているものの、手当は月給制などで支払われているような場合は、「その部分(月給制などで支払われた部分)の総額をその期間の総日数で除した金額と前記の金額の合算額」を最低保障する。(日給制などの部分についてのみ、最低保障をかける)。