社会保険労務雇用関連疑問悩み問題解決

社会保険労務雇用関連の疑問悩み問題解決の情報を書き連ねています。詳細はサイト内検索を

割増賃金

資格割増率(法371項、2項、4項、法附138条、則20条、割増賃金例)

1)割増率

 「使用者が、臨時の必要又は三六協定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働の賃金の計算額の25分以上5割以下の範囲内で、労働者の福祉、時間外又は休日の動労の動向その他の事情を考慮して政令で定める率(延長した労働時間の労働については25分、休日の労働については35分)以上の率で計算した割増賃金を支払わねばならない。

 ただし、当該延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わねばならない」とされる。

 当分の間、事業の事業主の事業においては、上記の但書の規定は適用されない。

小売業:資本金額(出資総額)5千万円以下又は常時使用従業員50人以下

サービス業:資本金額(出資総額)5千万円以下又は常時使用従業員100人以下

卸売業:資本金(出資総額)1億円以下又は常時使用従業員100人以下

上記以外の業種:資本金(出資総額)3億円以下又は常時使用労働者300人以下

 また、「使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働省が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の25分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」とされる。

時間外労働:25%以上

休日労働:35%以上

深夜業:25%以上

時間外労働×深夜業:50%以上

休日労働×深夜業:60%以上

 注1)休日に8時間を超えて労働したからといっても、それは時間外労働ではなく、あくまで休日労働なので、深夜業に及ばない限り、35分のままである。

2)1日の労働時間が8時間で、土曜日と日曜日が所定休日となっている事業場において、土曜日にのみ「休日出勤」した場合は、1週間の法定労働時間(40時間)を超えるものの、1週間に1日の法定休日は確保されているので、時間外労働時間となり、割増率は、25分で足りる。

 ※派遣先の使用者に時間外労働を行わせる権限があるかどうかにかかわらず、派遣先の使用者が派遣中の労働者に法定時間外労働をさせた場合は、派遣元の使用者に割増賃金の支払い義務が生じる。

 

2)時間外労働が継続して翌日に及んだ場合

 時間外労働が継続して翌日の所定労働時間に及んだ場合には、たとえ暦日を異にする場合でも一勤務として取り扱い、その勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とされる。したがって、時間外労働の割増賃金は、翌日の所定労働時間の始期までの超過次官に対して行うこととなる。

 一方、時間切労働が継続して翌日に及んだ場合で、その翌日から法定休日であるときは、翌日の法定休日の午前0時から休日労働の割増賃金を支払わなければならない。

 

割増賃金の算定(則191項)

 まず、「通常の労働時間(労働日)の賃金(割増賃金の計算に用いる時間給)」については、原則として、時間制の場合であれば、その時給の金額、日給制の場合であれば、その日給を1日の所定労働時間で除した金額、月給の場合であれば、その月給を月における所定労働時間数で除した金額になるが、出来高制などの請負制の場合は、その賃金算定期間(1ヶ月なら1ヶ月)の賃金総額をその賃金算定期間における総労働時間数で除した金額になる。

 そして、このようにして求めた金額(時間給)が1,000円であって、例えば時間外労働が1時間であった場合は、その時間外労働について、1,000×25%250円を加給して(一般的には、通常の賃金と合わせて1,250円を)支払わなければならない

 

除外賃金(条375項、則21条)

 次に掲げる賃金は、割増賃金の基礎となる賃金には参入しない。

1:家族手当(ただし、家族数に関係なく一律に支給されるものは算入)

2:通勤手当(ただし、通勤手当のうち一定額最低額として距離にかかわらず支給される場合は算入)

3:別居手当

4:子女教育手当

5:住居手当(ただし、住宅に要する費用にかかわらず一律に定額で支給されるものや住宅に要する費用以外の費用に応じて算定されるものは算入)

6:臨時に支払われた賃金

7:1ヶ月を超える期間毎に支払われる賃金

 もちろん、これらの賃金を割増賃金の基礎となる賃金から除かなくても差し支えない。

 ※危険な作業に従事する場合に支給される、いわゆる危険作業手当は、その危険な作業が時間外、休日又は深夜に行われるときは、割増賃金の基礎となる賃金に参入しなければならない。

 

代替休暇(法373項、1項読替え、則19条の2,11号読替え)

 使用者が、労使協定により、「延長して労働させた時間が1ヶ月について60時間を超えたために、その超えた時間の労働について、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない労働者に対して、当該割増賃金の支払にかえて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(年次有給休暇を除くものとし、以下「代替休暇」)を与えること」を定めた場合において、当該労働者が代替休暇を取得したときは、当該60時間を超えた時間のうち、当該取得した代替休暇に対する時間の労働については、当該割増賃金を支払うことを要しない。

 

1)代替休暇に係る労使協定の協定事項(則19条の2,1項、2項)

 使用者は、代替休暇に係る労使協定をする場合には、次の事項について、協定しなければならない。なお、この労使協定は、行政官庁に届け出る必要はない。

1.代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法>

 当該算定方法は、労働者に1ヶ月について60時間を超えて延長して労働させた時間の時間数に、換算率(労働者が代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率と、労働者が代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率との差に相当する率をいう)を乗じるものとしなければならない。

2.代替休暇の単位>

 当該単位は、1日または半日(代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇と合わせて与えることができる旨を定めた場合においては、当該休暇と合わせた1日または半日を含む)としなければならない。

3.代替休暇を与えることができる期間>

 当該期間は、時間外労働が1ヶ月について60時間を超えた当該1ヶ月の末日の翌日から2ヶ月以内としなければならない。

 

2)割増賃金の支払が不要となる場合(則19条の2,3項)

 

 労働者が代替休暇を取得した場合、当該労働者に1ヶ月について60時間を超えて延長して労働させた時間のうち、「労働者が取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間」について、5割以上の率で計算した割増賃金の支払を要しないことになる