社会保険労務雇用関連疑問悩み問題解決

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延長給付

 経済情勢や受給資格者の状況などによっては、「所定の給付日数」分の基本手当の支給では十分な保護を図れない場合がある。このため、「所定の給付日数」を超えて基本手当を支給する制度が設けられている。これを「延長給付」といい、公共職業訓練等を受講する場合に支給される「広域延長給付」、全国的に失業の状況が著しく悪化した場合に支給される「全国延長給付」、倒産・解雇などにより離職した人などを対象として支給される「個別延長給付(平成24331日までの時限措置)」の4種類がある。

 

訓練延長給付(法24条)

1)待期中の訓練延長給付

 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等(2年以内のものに限る)を受けるために待期している受給資格者に対しては、当該待期している期間のうちの当該公共職業訓練等を受け始める日の前日までの引き続く90日間の期間のうちの失業している日について、所定給付日数を超えて基本手当が支給(受給期間もその日数分延長)される。

 

2)講中の訓練延長給付(法241項、3項、令31項)

 受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等(2年以内のものに限る)を受講している場合には、当該公共職業訓練等を受け終わる日までの間の失業している日について所定給付日数を超えて基本手当が支給(受給期間もその日数分延長)される。

 

3)受講後の訓練延長給付(法242項、4項、法附4条、令4条)

 公共職業訓練等を受け終わる日における基本手当の支給残日数が30日に満たない受給資格者であって、一定の要件を満たすものであると公共職業安定所長が認めたものには、30日から支給残日数を差し引いた日数を限度として、所定給付日数を超えて基本手当が支給(受給期間もその日数分延長)される。

 

広域延長給付(法251項、4項、令53項)

 厚生労働大臣は、広域職業紹介活動にかかる地域について、次の基準に照らして必要あると認めるときは、その指定する期間内に限り、公共職業安定所長が当該地域に係る当該広域職業紹介活動により職業の斡旋を受けることが適当であると認定する受給資格者について、受給期間に90日を加えた期間内の失業している期間について、90日を限度として、所定給付日数を超えて基本手当を支給(受給期間も90日分延長)する措置を決定することができる。

 

広域延長給付の発動基準(令61項)

 その地域における基本手当の初回受給率(初めて基本手当を受給したものの数の被保険者数に対する割合)が、全国平均の基本手当の初回受給率の2倍以上となり、かつ、その状態が継続すると認められること

 ※広域延長給付は、期間を限って実施されるものなので、その期間の末日が到来した時には、当該延長給付の支給終了前であっても、広域延長給付は打ち切られる(この点は、全国延長給付も同様)。

 

全国延長給付(法271項、3項、令72項)

 厚生労働大臣は、失業の状況が全国的に著しく悪化し、次の基準に該当するに至った場合において、受給資格者の就職状況からみて必要があると認められるときは、その指定する期間内に限り、受給期間に90日を限度として、所定給付日数を超えて受給資格者に基本手当を支給(受給期間も90日延長)する措置を決定することができる。

 

全国延長給付の発動基準

 連続する4ヶ月の全国の基本手当の受給率が4%を超え、初回受給率が低下する傾向になく、かつ、これらの状態が継続すると認められること(令71項)。現在、全国延長給付が発動されたことはない(厚生労働大臣判断)。

 

延長給付に関する調整(法28条、法附54項)

1)延長給付間の優先順位

 「広域延長給付を受けている受給資格者については、当該広域延長給付が終わった後でなければ全国延長給付及び訓練延長給付は行わず、全国延長給付を受けている受給資格者については、当該全国延長給付が終わった後でなければ訓練延長給付は行わない」とされる。

 

各延長給付間の優先順位

 広域延長給付>>全国延長給付>>訓練延長給付

 

2)延長給付間の調整(法282項、法附54項)

 「訓練延長給付を受けている受給資格者について広域延長給付又は全国延長給付が行われることとなったときは、これらの延長給付が行われる間は、そのものについて訓練延長給付は行わず、全国延長給付を受けている受給資格者について広域延長給付が行われる事になったときは、広域延長給付が行われる間は、そのものについて全国延長給付は行わない」とされる。