社会保険労務雇用関連疑問悩み問題解決

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就業促進手当

 「就職促進給付」は、失業者が再就職するのを援助・促進することを目的とする給付で、「就業促進手当」、「移転費」及び「広域求職活動費」の3種類から構成されている。そして、このうちの「就業促進手当」は、失業者が再就職した場合に支給されるもので、非常用労働者として再就職した受給資格者に支給される「再就職手当」、及び常用労働者として再就職した就職困難者である受給資格者、特例受給資格者または日雇い受給資格者に支給される「常用就職支度手当」の3種類から構成されている。

 

就業手当

1)支給要件(法562,1項抄、2項、則82条)

 就業手当は、受給資格者が再就職手当の支給対象とならない職業につき、又は事業を開始した(常用雇用など以外の形態で就業した)場合であって、次のすべての要件を満たす場合に支給される。

1:就職日の前日における基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上であること

2:受給資格に係る離職について離職理由による給付制限を受けるものについては、待期期間の満了後1ヶ月の期間内については、公共職業安定所又は職業紹介事業者の紹介により就職したものであること

3:雇入れすることを約した事業主が受給資格の決定にかかる求職の申し込みをした日前にある場合において、当該事業主に雇用されたものでないこと

4:離職前の事業主(関連事業主も含む)に再び雇用されたものでないこと

5:待期期間の経過後に職業につき、又は事業を開始したこと

 ※就業手当(再就職手当も同様)は、待期期間中に雇い入れを訳した事業主に雇用された場合に支給されなくなるわけではない。

 

2)支給額(法56条の221号)

 就業手当は、現に職業に就いている日(当該職業につかなかったこととし場合における基本手当の受給期間内に、基本手当の支給を受けることができることとなる日があるときに限る)について支給され、その額は、基本手当日額に10分の3を乗じて得た額となる。

就業手当の額(就業日ごとの額)=基本手当日額×30%

 

3)支給申請手続き(則82条の5,1項、3項、4項)

 就業手当の支給を受けようとする受給資格者は、原則として失業の認定日に、就業手当支給申請書に原則として受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならないが、当該失業の認定日に現に職業に就いている場合は、次の失業の認定日の前日までに提出しても差し支えない。

 

4)支給の効果(法56条の2,4項)

 就業手当を支給したときは、当該就業手当を支給した日数に相当する日数分の基本手当を支給したものとみなされる。

 

再就職手当

1)支給要件(法56条の2,1項、2項、法61条の2,4項、則82条、則82条の2、則82条の4

 再就職手当は、受給資格者が1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業につき、又は事業(当該事業により当該受給資格者が自立することができると公共職業安定所長が認めたものに限る)を開始した場合であって、就業手当の場合と同様の要件{就業手当の(1)の1:5:}を満たした場合に支給される。ただし、次の場合には、再就職手当は支給されない。

1:就職日前3年以内の就職について再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けた時があるとき

2:同一の就職について高年齢再就職給付金の支給を受けたとき

 ※高年齢再就職給付金の支給を受けるとができるものが、同一の就職につき再就職手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付を支給せず、高年齢再就職給付金の支給を受けたときは、再就職手当を支給しない(法61条の2,4項)。

 

2)支給額(法56条の2,32号)

 再就職手当の額は、基本手当日額に支給残日数に相当する日数に10分の5(その職業について日の前日における基礎手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の2以上であるものにあっては10分の6)を乗じて得た額になる。

再就職手当の額=基本手当日額×支給残日数の50%60%

 

3)受給手続き(則82条の7,1項、3項)

 再就職手当の支給を受けようとするものは、安定した就職についた日の翌日から起算して1ヶ月以内に、再就職手当支給申請書に原則として受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所長に提出しなければならない。

 

4)支給の効果(法56条の2,5項)

 再就職手当が支給されたときは、当該再就職手当の額を基本手当日額で除して得た日数に相当する日数分の基本手当が支給されたものとみなす。

 

5特定就職促進手当受給者の特例(法57条、則85条の2

 再就職手当の支給を受けたものであって、基本手当の受給期間内に、倒産・解雇などにより再離職(新たに受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を取得した場合を除く)したもの(「特例就業促進手当受給者」という)については、(A14日+B)の期間がCの期間を超えるときは、{(A14日+B)ーC}の期間が当初の受給期間に加算される。

 

常用就職支度手当

1)支給要件(法56条の2,1項、2項、則822項、則82条の3、則82条の4

 常用就職支度手当は、受給資格者(当該職業についた日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の1未満又は45日未満であるものに限る)、特例受給資格者(特例一時金の支給に受けたものであって、当該特例受給資格に係る離職の日の翌日から起算して6ヶ月を経過していないものを含む)又は日雇受給資格者(以下、「受給資格者など」)であって身体障害者その他の就職が困難なものとして厚生労働省令で定めるものが、1年以上引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業についた場合であって、次のすべての要件を満たす場合に支給される。

1:公共職業安定所又は職業紹介事業者の紹介により職業についたこと

2:給付制限を受けるものについては、給付制限の期間が経過した後に職業についたこと

3:離職前の事業主(関連事業主を含む)に再び雇用されたものでないもの

4:待期期間の経過後に就職についたこと

5:就職日前3年以内の就職について再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと

 ※常用就職支度手当は、45歳以上の受給資格者であって、雇用対策法などに基づく再就職援助計画の援助対象労働者などに対しても支給される。

 

2)支給額(法56条の2,33号、則83条の2

 常用就職支度手当の額は、原則として、「基本手当日額など」に「9010分の436)を乗じて得た数」を乗じて得た額になる。

常用就職支度手当の額=基本手当日額など×36

 ※つまり、基本手当日額などが36日分支給されることとなる。

 ただし、所定給付に日数が270日未満で、かつ、支給残日数が90日未満の受給資格者については、「基本手当日額」に「支給残日数(その数が45を下回る場合にあっては、45とする)に10分の4を乗じて得た数」を乗じて得た額しか支給されない。

常用就職支度手当の額=基本手当日数×{支給残日数の40%相当数(最低18)}

 

3)受給手続き(則84条)

 常用就職支度手当の支給を受けようとする受給資格者などは、安定した職業についた日の翌日から起算して1ヶ月以内に、常用就職支度手当支給申請書に受給資格者証、特例受給資格者証又は被保険者手帳を添えて管轄公共職業安定所の長{日雇受給資格者にあっては所轄公共職業安定所(安定した職業に係る事業所の所在地を管轄する公共職業安定所)の長}に提出しなければならない。