社会保険労務雇用関連疑問悩み問題解決

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給付基礎日額のスライド

休業給付基礎日額のスライド(法8条の21項)

1)スライド改定の要件

 休業(補償)給付の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額(以下「休業給付基礎日額」)のスライド改定は「算定事由発生日の属する四半期の平均給与額」とその後と「四半期ごとの平均給与額」とを、毎回比較していき、後者が前者の「100分の90を下回るに至った場合」に行われる。

 

2)スライド改定の実施

 当初の休業給付基礎日額にスライド率(平均給与額の変動率を基準として厚生労働大臣が定める率)を乗じて得た額を新しい休業給付基礎日額(改定日額)とし、10%を超えて「上昇し、または低下するに至った四半期の翌々四半期に属する最初の日以後に支給すべき事由が生じた休業(補償)給付」について、これを用いる。

 四半期

1-3月:(算定事由発生)

4-6月:10%以下

7-9月:10%

10-12月:(翌四半期)

1-3月:(翌々四半期)改定日額を初日から適用

 

3)長期療養者にかかる最低・最高限度額の適用(法8条の2,2項)

 療養を開始した日から起算して16ヶ月を経過した日以後の日について支給される休業(補償)給付にかかる休業給付基礎日額については、年齢階層ごとに定められた最低限度額および最高限度額の適用を受け、その範囲内に収められる。

 具体的には、長期療養者の各四半期の初日(基準日)ごとの年齢を年齢階層に当てはめ、そのものの休業給付基礎日額がその年齢階層の裁定限度額を下回る場合には裁定限度額を休業給付基礎日額とし、逆に、その年齢階層の最高限度額を上回っている場合には最高限度額を休業給付基礎日額とする。

 

4)最低・最高限度額(則9条の3

 最低・最高限度額は、20歳未満、20歳以上70歳未満を5歳ごと、及び70歳以上に区分した、計12区分の年齢階層ごとに設定されている。なお、最低・最高限度額は、年齢階層区分のみで設定され、男女別、規模別または業種別と言った他の区分によっても設定されるものではない。

 ※スライド改定が行われた場合は、スライド改定後の給付基礎日額について最低・最高限度額が適用される。

 

年金給付基礎日額のスライド(法8条の3,1項)

1)スライドの時期

 年金たる保険給付の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額(以下「年金給付基礎日額」)のスライド改定は、「算定事由発生日の属する年度の翌々年度の8月以後の分として支給する年金たる保険給付」に係るものについて行われます。

 

2)スライド改定の実施

 当初の年金給付の基礎日額に、その年のスライド率{「年金たる保険給付を支給するべき月の属する年度の前年度(当該月が4月から7月までの月に該当する場合に合っては、前前年度)の平均給与額」を「算定事由発生日の属する年度の平均給与額」で除して得た率を基準として厚生労働大臣が定める率}を乗じて得た額を、新たな年金給付基礎日額として、毎年改定していく。

 

3)最低・最高限度額の適用(法8条の3,2項)

 年金たる保険給付を受給しているものの年金給付基礎日額については、その当初から、年齢階層ごとに定められた最低・最高限度額の適用を受け、その範囲内に収められる。なお、最低・最高限度額は、休業給付基礎日額で求められるものと同様。

 具体的には、年金たる保険給付を受ける労働者の毎年81日(基準日)ごとの年齢{遺族(補償)年金を支給すべき場合にあっては、労働者の死亡がなかったものとして計算した場合に得られる当該労働者の毎年81日(基準日)ごとの年齢}を同日から1年間の年齢として、これを年齢階層に当てはめて適用する。

 ※労働者が死亡した場合に、遺族の年齢を年齢階層に当てはめるわけではない。

 

一時金の給付基礎日額(法8条の4、則17条、則18条の11

 一時金の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額についても、年金給付基礎日額と同様のスライド改定が行われる。ただし、長期給付ではないので、基本的に最低・最高限度額の適用はない。