高年齢雇用継続基本給付金(法61条)
■支給要件(法61条1項、2項)
1)支給対象者
高年齢雇用継続基本給付金は、次の要件を満たすものを対象として、支給される。
1:一般被保険者(高年齢継続被保険者を含む)であること
2:算定基礎期間に相当する期間(被保険者であった期間)が5年以上あること
※高年齢雇用継続基本給付金は、高年齢雇用継続給付(基本手当の受給期間)の延長申請をせず、かつ、(59歳以後の)離職後1年以内に再就職しなかったものには支給されない(前後の期間が通算されず、算定基礎期間が5年未満になってしまうため)。
2)支給対象月
高年齢雇用継続基本給付金は、支給対象者が60歳に達した日の属する月から65歳に達する日の属する月までの期間内にある月を「支給対象月」として支給される。ただし、「支給対象月」とされるためには、次のいずれの要件も満たしていなければならない。
1:その月の初日から末日まで引き続いて被保険者であること(その月の一部のみについて被保険者であった場合は、支給対象月にならない)。
2:その月の初日から末日まで引き続いて育児休業基本給付金または介護休業給付の支給を受けることができる休業をしなかった月であること(その月の一部のみが、育児休業基本給付金または介護休業給付金の支給対象となる場合は、支給対象月になる)。
※高年齢雇用継続給付を受給している被保険者も、育児休業給付や介護休業給付の支給対象となるが、これらの給付が併給されるわけではない。
3)支給要件(法61条1項、6項、平成23年厚労告210号)
高年齢雇用継続気品給付金は、支給対象者が、次の支給要件を満たすときに、その支給対象月について支給される。
1:その支給対象付きに支払われた賃金の額(以下「支給対象の時の賃金額」)がみなし賃金日額に30を乗じて得た額(以下「みなし賃金月額」)の75%相当額を下回っていること。ただし、この場合の「支給対象付きの賃金額」とは、非行、疾病などにより支払いを受けることができなかった賃金があるときは、その支払を受けたものとみなした賃金の額をいう。したがって、実際の支給対象月の賃金額が75%未満に低下した月であっても、当該賃金額と非行、疾病などにより支払いを受けることができなかった賃金額とを合算した額が75%未満に低下していない場合には、給付金は支給されない。
2:その支給対象月の賃金額が、支給限度額(341,542円)未満であること。ただし、後に述べるように、支給対象月の賃金額と給付金の合計額が支給限度額を超えるときの給付金の額は、支給限度額から支給対象月の賃金額を減じた額となり、また、下記に述べるように、算定された給付金の額が1,848円以下のときは、給付金は支給されない。この関係で、実際には、支給対象月の賃金額が、341,542ー1,848=339,694円未満でなければならない。
3:その支給対象月における高年齢雇用継続基本給付金の額として算定された額が2,330円の80%相当額(1,864円、以下単に「1,864円」)を超えていること
※支給限度額が引き上げられたことによって高年齢雇用継続給付の支給要件が満たされた場合でも、高年齢雇用継続給付の支給は行われる。
■支給額(法61条5項)
高年齢雇用継続基本給付金の額は、次のようになる。
1:その支給対象月の賃金額が、みなし賃金月額の61%未満であるときは、支給対象月の賃金額の15%相当額
2:その支給対象月の賃金額が、みなし賃金月額の61%以上75%未満であるときは、支給対象月の賃金額に、15%から一定の割合で逓減する率を乗じて得た額
3:ただし、1:2:により算定された給付金の額と支給対象月の賃金額との合算額が、支給限度額(341,542円)を超えるときは、支給限度額から支給対象月の賃金を減じて得た額
■受給手続き
被保険者は、初めて高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けようとするときは、支給対象月の初日から起算して4ヶ月以内に、高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書に、事業主から交付された雇用保険被保険者60歳到達時など賃金証明書を添えて、所轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。
なお、「雇用継続給付」の支給申請は、労使協定がある場合には、被保険者に代わって事業主が行うこともできる。したがって、当該申請についても、労使協定がある場合には、事業主が代行することができる。