社会保険労務雇用関連疑問悩み問題解決

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継続事業の一括(法9条)

一括の要件(法9条)

 継続事業の一括が行われるためには、2以上の事業が、次の要件を満たさなければならない。

1:それぞれの事業の事業主が同一人であること

2:それぞれの事業が継続事業であること

3:それぞれの事業が、次のいずれか1つのみに該当するものであること(それぞれの事業について成立している保険関係が同じであること)

 <1労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業

 <2雇用保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業

 <3>一元適用事業であって労災保険及び雇用保険にかかる保険関係が成立しているもの

4:それぞれの事業が、労災保険年率に掲げる事業の種類を同じくすること

5:事業主が当該2以上の事業について成立している保険関係の全部もしくは一部を1の保険関係とすることにつき申請をし、厚生労働大臣の認可を受けること

 ※雇用関係に係る保険関係が成立している二元適用事業の場合であっても、労災保険率表による事業の種類が同じでなければ一括されない。



一括の効果

 継続事業の一括の認可に係る2以上の事業に使用されるすべての労働者は、これらの事業のうち厚生労働大臣が指定するいずれか1の事業(指定事業)に使用される労働者とみなされるとともに、指定事業以外の事業(被一括事業)に係る保険関係は消滅する。

 ※継続事業の一括においては、事業の規模や地理的範囲は問われない。

下請負事業の分離(法8条2項)

分離の要件(則8条、9条)

 下請負事業の分離が行われるための要件は、次の通り。

1:労災保険にかかる保険関係が成立している事業のうち、建設の事業が数次の請負によって行われる場合であること

2:下請負人の請負に係る事業の規模が、概算保険料を算定することとした場合における概算保険料の額に相当する額が160万円以上、又は、請負金額が19,000万円以上であること

3:下請事業の分離について、元請負人及び下請負人が共同で申請し、厚生労働大臣の認可を受けること



分離の効果

 下請負人の請負に係る事業については、その事業が1の事業とみなされ、下請負人のみが当該事業の事業主とされる。

 ※有期事業の一括、請負事業の一括及び下請事業の分離は、労災保険の扱いであって、雇用保険がこの扱いを受けるのではない。

請負事業の一括(法8条1項、則7条)

一括の要件

 労災保険にかかる保険関係が成立している事業のうち建設の事業が数次の請負によって行われる場合には、請負事業の一括が行われる。



一括の効果

 その事業は1の事業とみなされ、元請負人のみが当該事業の事業主とされる。したがって、当該元請負人下請負人に使用される労働者を含めて当該事業に使用される労働者について、保険料納付などの保険関係についての義務を負わなければならない。

有期事業の一括

有期事業の一括の要件(法7条、則6条)

 有期事業の一括が行われるためには、2以上の事業が、次の要件を満たさなければならない。

1:それぞれの事業の事業主が同一人であること

2:それぞれの事業が有期事業であること

3:それぞれの事業が、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業であり、又は立木の伐採の事業であること

4:それぞれの事業の規模が、概算保険料を算定することとした場合における概算保険料の額に相当する額が160万円未満であり、かつ、建設の事業にあっては、請負金額が19,000万円未満、立木の伐採の事業にあっては、素材の見込み生産量が1,000立方メートル未満であること

5:それぞれの事業が、他のいずれかの事業の全部または一部と同時に行われること

6:それぞれの事業が、労災保険率表に掲げる事業の種類を同じくすること

7:それぞれの事業にかかる労働保険料の納付の事務が1の事務所(以下「一括事務所」)で取り扱われること

8:機械装置の組立又は据え付けの事業以外の事業にあっては、それぞれの事業が、一括事務所の所在地を管轄する都道府県労働局の管轄区域又はこれと隣接する都道府県労働局の管轄区域(厚生労働大臣が指定する都道府県労働局の管轄区域を含む)内で行われること

 ※機械装置の組立又は据え付けの事業であっても、それぞれの事業に係る労働保険料の納付の事務は1の事務所(一括事業所)で行われなければならない。



一括の効果(則64項)

 有期事業の一括の扱いを受けた場合は、個々の事業は全体としての1の事業とみなされ、これを「一括有期事業」という。また、一括有期事業は、継続事業として扱われ、それぞれの事業ごとの保険関係の成立手続として扱われ、それぞれの事業ごとの保険関係の成立手続、保険料納付、及び保険関係の消滅手続きが不要となり、保険料の申告・納付が保険年度単位で行われる。



一括有期事業の事務

 有期事業の一括は法律上当然に行われるので、一括の申請などの手続きは不要だが、一括有期事業においては事務手続きが必要となる。



1)一括有期事業開始届(則63項)

 一括有期事業の事業主は、それぞれの事業を開始したいときは、その開始の日の属する月の翌月10日までに、一括有期事業開始届を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。



2)一括有期事業報告書(則34条)

 一括有期事業の事業主は、次の保険年度の61日から起算して40日以内(61日から710日まで)又は保険関係が消滅した日(事業終了日の翌日)から起算して50日以内に、一括有期事業報告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。

一括有期事業開始届:事業開始月の翌月10日まで

一括有期事業報告書:次の保険年度の 61日から710日まで又は保険関係消滅日起算50日以内

保険関係の消滅

廃止・終了による保険関係の消滅(法5条)

 適用事業であると暫定任意適用事業であると問わず、事業が廃止(継続事業の場合)され、又は終了(有期事業の場合)したときは、その事業についての労働保険の保険関係は、その翌日に消滅する。



消滅申請による保険関係の消滅(整備法8条、法附4条)

 暫定任意適用事業の場合は、事業主が保険関係の消滅の申請をし、厚生労働大臣の認可があったときにも、その事業についての労働保険の保険関係が、その翌日に消滅する。ただし、この保険関係の消滅の申請は、次の要件を満たさなければ、行うことができない。

1.労災保険の消滅申請の要件>

1:その事業に使用される労働者の過半数の同意を得ること

2:擬制任意適用事業以外の事業にあっては、保険関係が成立した後1年を経過していること

3:特別保険料が徴収される場合は、特別保険料の徴収期間を経過していること

2.雇用保険の消滅申請の要件>

 その事業に使用される労働者の4分の3以上の同意を得ること

 ※特別加入している農業経営者が労災保険を脱退した場合であっても、労働者についての保険関係は消滅しない。

保険関係の成立

適用事業の保険関係の成立

1)保険関係の成立(法3条、4条、法附3条、整備法7条)

 適用事業の労働保険に係る保険関係は、事業が開始された日又は暫定任意適用事業に該当するに至った日に成立する。

 ※保険関係は、保険関係成立届の提出の有無にかかわらず、法律上当然に成立する。

2)保険関係成立届(法4条の2,1項、則11項、則42項、整備省令18条)

 保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から10日以内に、保険関係成立届を、次の区分に従い、所轄労働基準監督所長又は所轄公共職業安定所長に提出しなければならない。

1.保険関係成立届を所轄労働基準監督所長に提出する事業>

1:一元適用事業であって労働保険事務組合に事務処理を委託しないもの(雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業を除く)

2:労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業

2.保健関係成立届を所轄公共職業安定所長に提出する事業>

1:一元適用事業であって労働保険事務組合に事務処理を委託するもの

2:一元適用事業であって労働保険事務組合に事務処理を委託しないもののうち雇用保険に係る保険関係のみが成立する事業

3:雇用保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業

 

暫定任意適用事業の保険関係の成立

1)保険関係の成立(整備法5条、法附2条)

 暫定任意適用事業の労働保険に係る保険関係は、暫定任意適用事業の事業主が任意加入の申請をし、厚生労働大臣の認定があった日、又は適用事業が暫定任意適用事業に該当するに至った日の翌日に成立する。

 なお、労災保険の暫定任意適用事業の事業主は、その事業に使用される労働者の過半数が希望するときには、また、雇用保険の暫定任意適用事業の事業主は、その事業に使用される労働者の2分の1以上が希望するときには、それぞれ、任意加入の申請をしなければならない。また、雇用保険の任意加入の申請は、労働者の保険料負担を伴うこととなるため、その事業に使用される労働者の2分の1以上の同意を得なければ、行うことができない。



2)任意加入申請書(整備省令1条、14条、則附21項、則751項)

 労災保険の任意加入申請書は、所轄労働基準監督所長を経由して、雇用保険の任意加入申請書は、所轄公共職業安定所長を経由して、所轄都道府県労働局長に提出する。

 ※適用事業が暫定任意適用事業に該当するに至った場合に届け出る必要はない。



名称、所在地など変更届(法4条の2,2項、則5条)

 保険関係が成立している事業の事業主は、次の事項に変更があったときは、その変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に、名称、所在地など変更届を所轄労働基準監督所長又は所轄公共職業安定所長に提出しなければならない。

1:事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地

2:事業の名称、種類

3:事業の行われる場所

4:有期事業にあっては、事業の予定される期間

 ※法人の代表取締役の異動があっても、届け出る必要はない。