賃金総額
■賃金(法2条2項、則3条1項)
徴収法において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われる賃金については、その範囲は、食事、被服及び住居の利益のほか、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長の定めるところによるので、この範囲外のものは除かれる)をいう。
※徴収法上の「賃金」は、退職手当(前払いされるものを除く)、結婚祝い金、死亡弔慰金などについては、支給条件が明確である(就業規則などに基づいて支給される)場合であっても、賃金とみなされない点で労働基準法上の「賃金」となる。
■賃金総額の原則(法11条2項)
賃金総額とは、原則として、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額をいう。
※保険年度内に支払が確定した賃金は、その保険年度内に支払われなかった場合でも、その保険年度の賃金総額に算入する。
■賃金総額の特例(法11条3項、則12条)
1)請負による建設の事業(則13条1項、則別表第2)
労災保険に係る保険関係が成立している請負による建設の事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、請負金額に労務費率を乗じて得た額を賃金総額とする。
賃金総額=請負金額×労務費率
2)立木の伐採の事業(則14条)
労災保険に係る保険関係が成立している立木の伐採の事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、所轄都道府県労働局長が定める素材1立方メートルを生産するために必要な労務費の額に、生産するすべての素材の材積を乗じて得た額を賃金総額とする。
賃金総額=素材1立方メートルあたりの労務費×生産する素材の材積
労災保険に係る保険関係が成立している林業の事業(立木の伐採の事業を除く)又は水産動植物の採捕又は養殖の事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、その事業の労働者につき、厚生労働大臣が定める平均賃金に相当する額に、それぞれの労働者の試用期間の総日数を乗じて得た額の合算額を賃金総額とする。
賃金総額=(厚生労働大臣が定める平均賃金相当額×各労働者の使用期間の総日数)の合算額