特別加入の効果
■業務上外の認定(則46条の26、平生3年月12日基発259号、昭和52年3月30日基発192号)
特別加入した中小事業主などや一人親方についての業務上外の認定については、労働者の場合と異なり業務の範囲などを確定することが通常困難であることから、厚生労働省労働基準局長が定める基準によって行うこととされている。他方、海外派遣者などの場合は、国内の労働者の業務災害の認定に準じて行うこととされている。
■給付基礎日額(法34条1高3号、法35条1項6号、法36条1項2号、則1条1項、則46条の20,1項、則46条の24、則46条の25の3)
給付基礎日額は、3,500円、4,000円、5,000円、6,000円、7,000円、8,000円、9,000円、10,000円、12,000円、14,000円、16,000円、18,000円及び20,000円のうちから、特別加入者の希望する額を考慮して所轄都道府県労働局長が定める。
※特別加入者の給付基礎日額は、平均賃金相当額ではない。
■保険給付・特別支給金(法35条1項括弧書き、則46条の22の2、支給金則19条、平生3年4月12日基発259号)
次の点で、一般の適用労働者と異なる。
1:基本的に賃金という概念がないので、休業(保障)給付は、「賃金喪失」を要件とせずに、支給される。
2:次の一人親方など(第2種特別加入者)には、通勤災害が適用されない。
<1>自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業を行うもの
<2>漁船による水産動植物の採捕の事業を行うもの
<4>家内労働者及び補助者
3:特別給与を算定基礎とする特別支給金は、支給されない
※個人タクシー業者は通勤災害の適用を受けないが、タクシー事業を営む中小事業主は通勤災害の適用を受ける。
■支給制限(法34条1項4号、法35条1項7号、法36条1項3号、支給金則16条4号、支給金則17条7号、支給金則18条4号)
政府は、次の事故にかかる保険給付及び特別支給金の全部又は一部を行わないことができる。
1:中小事業主の故意又は重大な過失によって生じた事故
2:中小事業主、一人親方などの団体、又は海外派遣者の派遣元の団体もしくは事業主が、特別加入保険料を滞納している期間中に生じた事故
※1:海外派遣者の派遣元事業主又は海外派遣の派遣事業主などの故意又は重過失による事故について支給制限が行われるのではない。
※2:中小企業主が保険料を滞納している期間中に、その中小企業主が労働者としての故意・重過失による事故を起こした場合は、「故意・重過失による支給制限」が先に行われ、その支給制限後の保険給付の残額について「保険料滞納による支給制限」が行われる。
■脱退(法34条2項、法35条3項、法36条2項、平生11年12月3日基発695号)
特別加入者は、政府の承認を受ければ、いつでも脱退することができる。ただし、中小事業主などの場合は、脱退する場合も原則として「事業に従事する者」を包括して脱退しなければならない。
※海外派遣者が、包括加入又は包括脱退する必要はない。
■承認の取消(法34条3項、法35条4項、法36条2項)
政府は、中小事業主や海外派遣者の派遣元の団体又は事業主が、労災保険法もしくは徴収法又はこれらに基づく厚生労働省令の規定に違反したときは、特別加入の承認を取り消すことができる。また、政府は、一人親方などの団体が、労災保険法もしくは徴収法又はこれらに基づく厚生労働省令の規定に違反したときは、保険関係を消滅させることができる。