特別加入の対象者
■中小事業主など(法33条1号、2号)
1)対象者(法33条1号、2号、則46条の16)
次表に示す規模の事業(以下「特定事業」)を行う「中小事業主」及びその者が行う「事業に従事する者(家族従事者や法人企業の代表者以外の役員であって労働者ではないものをいう)」が特別加入の対象者となる(第1種特別加入者)。
金融・保険業・不動産業・小売業:50人以下
卸売業・サービス業:100人以下
上記以外の事業:300人以下
※徴収法の規定により労災保険の保険関係が一括され、元請負人のみが事業主となる場合であっても、下請人である中小事業主は労災保険に特別加入することができる。
2)特別加入の承認(法33条1号、法34条1項、則46条の19,1項、平成15年5月20日基発0520002号)
中小事業主などが特別加入するためには、中小事業主が、特別加入申請書を、所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に提出し、政府の承認を受けなければならないが、この承認を受けるためには、次の要件を満たしていなければならない。
1:その事業について労災保険に係る保険関係が成立していること
2:労災保険に係る労働保険の事務の処理を労働保険事務組合に委託してること
3:中小事業主およびその者が行う事業に重視するものを包括して加入すること。ただし、就業の実態がない中小事業主(病気療養中・高齢のために就業していない場合や株主総会・取締役会に出席するなどの事業主本来の業務のみに従事している場合など)については、そのものが行う事業に従事するもののみを加入することができる。
※2つ以上の事業を行う事業主は、承認基準を満たしている限り、2つ以上の事業について特別加入することができる。
■一人親方(法33条3号~5号)
1)対象者( 法33条3号~5号 、則46条の17)
次の種類の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする「一人親方その他の自営業」及びその「事業に従事するもの(家族従事者などであって労働者でないもの)」、並びに「特定作業従事者」が特別加入の対象者となる(第2種特別加入者)。
1:自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業(個人タクシー業・個人貨物運送業など)
2:土木建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊もしくは解体又はその準備の事業(大工、左官、とび、石工など)
3:漁船による水産動植物の採捕の事業
4:林業の事業
5:医薬品の配置販売の事業
6:再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業
2)特別加入の承認(法35条1項、2項、則46条の23)
一人親方などが特別加入するためには、一人親方などの団体が、特別加入申請書を、所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に提出し、政府の承認を得なければならないが、この承認を受けるためには、次の要件を満たしていなければならない。
1:加入しようとする一人親方などが、団体の構成員となっていること
2:同種の事業又は同種の作業について重ねて加入するものではないこと(異種の事業又は作業について特別加入することは差し支えない)。
※一人親方や海外派遣者が特別加入する場合に、労災保険に係る労働保険事務を労働保険事務組合に委託している必要はない。
■海外派遣者(法33条6号、7号)
1)対象者( 法33条6号、7号 、昭和52年3月30日基発192号)
次の「海外派遣者」が特別加入の対象者となる(第3種特別加入者)。
1:独立行政法人国際協力機構などの開発途上地域に対する技術協力の実施の事業(有期事業を除く)を行う団体から派遣されて、開発途上地域で行われている事業に従事するもの
2:日本国内で行われる事業(有期事業を除く)から派遣されて海外支店、工場、現場、現地法人、海外の提携先起業などの海外で行われる事業に従事するもの{特定事業(中小企業)に該当しないときは労働者として派遣されるものに限る}
※1:海外派遣前でも、すでに海外派遣中のものでも特別加入することができる。
※2:現地採用者は特別加入することができない。
2)特別加入の承認(法36条1項、則46条の25の2,1項)
海外派遣者が特別加入するためには、国内の派遣元の団体又は事業主が、特別加入申請書を、所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に提出し、政府の承認をうけなければならないが、この承認を受けるためには、派遣元の団体又は事業主が行う事業について労災保険に係る保険関係が成立していることが必要。