社会保険労務雇用関連疑問悩み問題解決

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事業場外労働のみなし労働時間制(法38条の2)

概要(法38条の2,1項、2項、昭和6311日基発1号)

 「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定しがたいとき」は、次のようにしてみなすことになる。

1:原則としては、「所定労働時間労働したもの」とみなす。

2:ただし、「当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務遂行に通常必要とされる時間労働したもの」とみなす。

3:2:の場合における「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」は、突発的に生ずるものは別として、できる限り、労使協定により定めなければならない。そして、「2:の場合において、当該業務に関し、労使協定があるときは、その協定で定める時間を当該業務の遂行に通常必要とされる時間」とする。

 ※みなし労働時間制が適用される場合にあっても、休憩、深夜業、休日に関する規定は適用される。したがって、みなし労働時間制を採用しているからといって、休憩や休日を与えなかったり、休日労働や深夜業に対する割増賃金を支払わなかったりするようなことはできない。なお、「専門業務型裁量労働制」及び「企画業務型裁量労働制」についても、同様である。

 

労使協定(法38条の2,3項、則24条の2

 労使協定には、次の事項を定めるとともに、1:の時間数が法定労働時間以下である場合を除き、その協定を行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届けなければならない。

1:当該業務の遂行に通常必要とされる1日当たりの労働時間数

2:労使協定(労働協約である場合を除く)の有効期限

 ※1:「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」を、「1月当たり○○時間」と協定することはできない。

 ※2:労使協定に定めることができるのは、事業場外で従事した業務についての時間であり、事業場内で業務に従事した時間を含めて協定することはできない。

 

適応できない場合(昭和6311日基発1号)

 次のような場合は、使用者の具体的な指揮監督が及び、労働時間の算定が可能なので、みなし労働時間制を適用することはできない。

1:何人かのグループで事業場時間外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理するものがいる場合

2:事業場外で業務に従事するが、無線や携帯電話などによって随時使用者の指示を受けながら労働している場合

 

3:事業場において、訪問先、帰社時刻など当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示通りに業務に従事し、その後事業場に戻る場合