適用事業
労働基準法は、ほとんどすべての「事業(事業場)」に適用される。ここでいう「事業(事業場)」は「会社」と同じではない。「事業」は、「場所単位の作業体」を意味する言葉で、Aという会社の本店が東京都にあり、支社が千葉県にあるような場合は、その本店と支店は、別々の事業として、労働基準法が適用される。
■適用事業の範囲:
労働基準法は、原則としてすべての事業について適用されるが、事業の種類については、法別表第1に定められている。なお、1号から5号までは「工業的業種」、6号から15号までは「非工業的業種」と呼ばれる。
1号:製造業
2号:鉱業
3号:建設業
4号:運輸交通業
5号:貨物取扱業
6号:農林業
7号:水産・畜産業
8号:商業
9号:金融広告業
10号:映画・演劇業
11号:通信業
12号:教育研究業
13号:保健衛生業
14号:接客娯楽業
15号:清掃・屠畜場業
※事業を開始した時は、使用者が遅延なく、その事実を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
※労働基準法は、法別表第1に掲げる事業にのみ適用されているのではない。
■適用事業の単位:
労働基準法は、同一場所にあるものは、原則として分割することなく一個の事業として適用され、場所的に分散しているものは、原則として別個の事業として適用される。
ただし、たとえ同一場所にあっても、工場内の診療所などのように同一態様が著しく異なるときは、これを切り離して独立事業とすることがある。反対に別々の場所であっても、出張所などで著しく小規模で独立性のないものについては、直近上位の機構と一括して一つの事業にすることがある。