社会保険労務雇用関連疑問悩み問題解決

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遺族(補償)年金

受給資格者及び受給権者(法16条の2、法22条の4,3項、40法附43条)

 遺族(補償)年金の受給権者{条文では「遺族(補償)年金を受け取る権利を有する遺族」}となるのは、次表の受給資格者{条文では「遺族(補償)年金を受け取ることができる遺族」}のうちの最先順位者である。

 労働者の収入によって生計を維持していたこと。若年支給停止者が受給資格者の場合、60歳に達する月までの間は支給停止される。

1位:配偶者・夫(60歳以上又は障害の状態にあること)

2位:子(18歳に達する日以後の最初の331日(以下「18歳の年度末」)までの間にあるか又は障害の状態であること)

3位:父母(60歳以上又は障害の状態にあること)

4位:孫(18歳の年度末までの間であるか又は障害の状態であること)

5位:祖父母(60歳以上又は障害の状態にあること)

6位:兄弟姉妹(18歳の年度末までの間にあるか又は60歳以上又は障害の状態にあること)

7位:夫(55歳以上60歳未満のもので障害の状態にないものであること)

8位:父母(55歳以上60歳未満のもので障害の状態にないものであること)

9位:祖父母(55歳以上60歳未満のもので障害の状態にないものであること)

10位:兄弟姉妹(55歳以上60歳未満のもので障害の状態にないものであること)

 なお、社会保険においては全て同様と考えておいて差し支えないが、配偶者(妻又は夫)には、「婚姻の届け出を出していないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあったもの(内縁関係のもの)」が含まれる。ただし、届出による婚姻関係にある(戸籍上の)配偶者と事実上の婚姻関係にある(内縁の)配偶者がいる重婚的内縁関係の場合は、前者の婚姻関係がその実態を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込みが無いと認められない限り、前者が配偶者とされる。

 また、7位から10位の順位のもの(55歳以上60歳未満で障害の状態にない夫・父母・祖父母・兄弟姉妹は、以後若年支給停止者と称する)は、受給権者となっても、60歳に達する月までの間は、支給停止される。

 ※「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたこと」の認定は、当該労働者との同居の事実の有無、当該労働者以外の扶養義務者の有無その他必要な事項を基礎として厚生労働省労働基準局長が定める基準によって行うこととされている。

 

胎児治出生の場合の扱い(法16条の2,2項、法22条の4,3項)

 「労働者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、受給資格者の規定の適用については、将来に向かって、その子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子をみなす」とされる。つまり、出生したときに受給資格が発生するのであって、労働者の死亡時にさかのぼって発生するのではない。

 

年金額(法16条の3,1項、法22条の4,3項、法別表第140法附431項)

 遺族(補償)年金の額は、受給権者およびその者と生計を同じくしている受給権者(若年支給停止者を除く)の人数の区分に応じ、次の額になる。

1人:給付基礎日額の153日分。ただし、55歳以上の妻又は障害の状態にある妻にあっては、給付基礎日額の175日分

2人:給付基礎日額の201日分

3人:給付基礎日額の223日分

4人以上:給付基礎日額の245日分

 ※遺族(補償)年金を受けているものが老齢厚生年金を受けるようになっても年金額は減額されない。

 

年金額の改定(法16条の3,3項、4項、法22条の4,3項)

 遺族(補償)年金の額の算定の基礎となる遺族の数に増減が生じた時など、年金額の改定事由が生じたときは、その改定事由が生じた月の翌月から、遺族(補償)年金の額が改定される。

 

所在不明による支給停止(法16条の5、法22条の4,3項)

 「遺族(補償)年金を受け取る権利を有するものの所在が1年以上明らかでない場合には、当該遺族(補償)年金は、同順位者があるときは同順位者、同順位者がいないときは次順位者の申請によって、その所在が明らかでない間、その支給を停止する。この間において、同順位者がいないときは、その間、次順位者を先順位者とする。この規定により遺族(補償)年金の支給を停止された遺族は、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる」とされる。

 

失権及び失格(法16条の4、法22条の4,3項、40法附431項)

 遺族(補償)年金の受給権者又は受給資格者が次の1:6:に該当するに至ったときは、受給権者の場合はその受給権が消滅し(失権)、受給資格者の場合はその受給資格が消滅する(失格)。

1:死亡したとき

2:婚姻(届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む)をしたとき

3:直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届け出をしていないが事実上養子縁組関係と同様の事情にあるものを含む)になったとき

4:離縁(養子縁組の解消)によって、死亡した労働者との親族関係が終了したとき

5:子、孫又は兄弟姉妹については、18歳に達した日以後の最初の331日我終了したとき(労働者の死亡時から引き続き障害の状態にある時を除く)

6:障害の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母、又は兄弟姉妹については、その事情がなくなったとき(夫、父母又は祖父母については、労働者の死亡の当時55歳以上であったとき、子又は孫については、18歳の年度末まであるとき、兄弟姉妹については、18歳の年度末までの間にあるか又は労働者の死亡当時55歳以上であった時を除く)

 なお、受給権者が失権した場合において、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に遺族(補償)年金が支給され、これを「転給」という。

 ※受給権者(受給資格者)は、自己又は自己の配偶者の父母や祖父母など(直系親族)の養子となっても失権(失格)しないが、自己又は自己の配偶者の叔父や叔母など(傍系親族)の養子になると失権(失格)する。