就業規則の作成及び届け出(法89条)
■就業規則
「就業規則」とは、労働者の就業上順守すべき規律及び労働条件に関する具体的細目について定めた規則をいい、この就業規則に定める労働条件の基準は、労働基準法に定める基準以上のものとしなければならない。また、就業規則で定めた労働条件は、その事業場における労働条件の最低基準としての効力を持つこととなる。
労働一般常識で学習する労働契約法では、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による」とする。
なお、基準に達しない労働条件を定める労働契約の部分が無効となるのであり、就業規則よりも有利な労働条件を定める労働契約は有効(労働契約が優先)
■作成及び届け出(法89条)
「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、所定の事項について就業規則を作成し、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない。当該事項を変更した場合においても、同様とする」とされる。
※1:就業規則の一部に変更を加えた時も届け出なければならない。
※2:本条の「労働者」とは、その事業場で使用するすべての労働者をいい、臨時的・短期的な雇用形態の労働者も含まれる。
※3:派遣労働者について就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者とそれ以外の労働者を合わせて常時10人以上の労働者を使用する派遣元の使用者である。
■作成の手続き(法90条)
「使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表するものの意見を聴かなければならない」また、「使用者は、当該届出をなすについて、当該意見を記した書面を添付しなければならない」とされる。
※行政官庁の命令により変更する場合でも、意見聴取しなけばならない。
■適用の範囲(昭和63年3月14日基発150条)
同事業場内において、法3条の均等待遇規定に違反しない限りにおいて、本則となる就業規則(正社員の就業規則など)とは別に、一部労働者についてのみ適用される就業規則(パート社員の就業規則など)を作成することは差し支えない。