療養(補償)給付
■給付の種類
療養(補償)給付は療養の給付が原則としてされているが、それが困難な場合などには療養の費用の支給が行われる。
1)療養の給付(法13条1項、法22条、則11条1項)
「療養(補償)給付は、療養の給付とする。療養給付は、社会復帰促進など事業として設置された病院もしくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院もしくは診療所、薬局もしくは訪問看護事業者において行う」とされる。つまり、「療養(補償)給付」は、「療養の給付」として、指定病院などにおいて現物支給されるのが、原則。
「療養の給付」の請求手続き:「療養の給付請求書」に「負傷又は発病の年月日」及び「災害の原因及び発生状況(通勤災害の場合は、災害の発生の時刻及び場所など)」について事業主の証明を受けた上で、指定病院などを経由して当該請求書を所轄労働基準監督署長に提出する(則12条、則18条の5)
※労災保険においては、療養(補償)給付の一環として、リハビリテーション医療も行われているが、このリハビリテーション医療とは、業務上の事由及び通勤による傷病労働者に対して当該傷病に係る本来の治療に加え、疾患別リハビリテーションなどを個々の症例に応じて総合的に実施して、労働能力の回復をはかり職場復帰への医学的指針を与えるまでの一連の行為をいう。
2)療養費用の支給(法13条3項、法22条2項、則11条の2、昭和41年1月31日基発73号)
「政府は、療養の給付をすることが困難な場合又は療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給することができる」とされ、例外的に現物支給することも認められている。
「療養の費用の支給」の請求手続き:療養にかかった費用を一旦医療機関に支払い、「療養の費用請求書」に「負傷又は発病の年月日」及び「災害の原因及び発生状況(通勤災害の場合は、災害の発生の時刻及び場所など)」について事業主の証明を受け、「傷病名および療養の内容」及び「療養に要した費用の額」について診療担当者の証明を受けた上で、当該請求書を直接所轄労働基準監督署長へ提出する(則12条の2、則18条の6)。
※療養の給付と医療の費用の支給いずれかを受けるかが、労働者にの選択に委ねられている。
■給付の範囲(法13条2項、法22条2項)
「療養の給付の範囲は、次の各号(政府が必要と認めるものに限る)による」とされる。
1:診察
2:薬剤又は治療材料の支給
3:処置、手術その他の治療
4:居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
5:病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
6:移送
※「治癒後」には、療養(補償)給付や休業(補償)給付は支給されない。
■支給期間
療養の必要が生じたときから、傷病が治癒するか、死亡するかして療養を必要としなくなるまで支給される。
■療養給付の一部負担金(法31条2項、法22条の2,3項、則44条の2)
「政府は、次に掲げる者を除き、療養給付を受ける労働者から200円(健康保険法に定める日雇特例被保険者である労働者については100円)を一部負担金として徴収する」とされる。
1:第三者の行為によって生じた事故により療養給付を受けるもの
2:療養開始後3日以内に死亡したものその他休業給付を受けないもの
3:同一の通勤災害に係る療養給付についてすでに一部負担金を納付したもの
4:特別加入者