休業(補償)給付
■支給要件(法14条1項、法22条の2,1項、2項)
「休業(補償)給付は、労働者が業務上の(通勤による)負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給するものとし、その額は、1日につき給付基礎日額の100分の60に相当する額とする」とされる。以下、支給要件を順に見ていく。
休業(補償)給付の支給要件>>
1:療養のためであること
2:労働不能であること
3:賃金を受けない日であること
4:待機期間を満了していること
1)療養のためであること
休業(補償)給付は、「療養」のために休業していないと支給されない。したがって、治癒後の処理(いわゆる外科後処置)により休業してる場合には、支給されない。
2)労働不能であること
「労働することができない」とは、労働者が負傷し又は疾病にかかる直前に従事していた種類の労働をすることができない場合のみではなく、一般に労働不能であることをいう。したがって、負傷前の作業はできなくても、被災した事業場で他の作業をすることが出来る場合は、休業(補償)給付は、支給されない。
※事業場に通勤することはできるが、病院に診療を受けに行くため労働することができない場合には、休業給付は支給される。
3)賃金を受けない日であること
「賃金を受けない日」とは、金額を全く受けない日はもちろんこれに含まれるが、「平均賃金の60%未満の金額しか受けない日」のことをいう(全部労働不能の場合)。
4)待機期間を満了していること
休業の最初の3日間は、待機期間とされ、休業(補償)給付は支給されない。この待機期間は継続している必要はなく、また、その間金銭を受けていても成立する。
※休業(補償)給付は、日々雇い入れられるものにも支給される。
■支給額
1)全部労働不能の場合
所定労働時間の全部について労働不能である場合は、1日に付き「給付基礎日額」の100分の60に相当するが支給される。
2)一部労働不能の場合
所定労働時間の一部分について労働不能である場合は、1日について「労働基礎日額から当該労働に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(労働不能部分に対応する給付基礎日額)」の100分の60に相当する額が支給される。
■支給期間
休業第4日目から、休業日が継続していると断続しているとを問わず、実際の休業日について休業の続く間支給されるが、傷病(補償)年金を受けることとなった場合は打ち切られる。
■休業(補償)給付の支給停止(法14条の2、法22条の2,2項)
「労働者が次の各号のいずれかに該当する場合(厚生労働省令で定める場合に限る)、には、休業(補償)給付は、行わない」とされる。
1:刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されている場合
2:少年院その他これに準ずる施設に収容されている場合