概算保険料の申告・納付先(則1条3項、38条、整備省令18条)
■労災関係申告・納付手続きの場合
次の概算保険料の申告及び納付は、概算保険料申告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出{当該申告書の提出は、日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店をいい、以下同じとする)又は労働基準監督署を経由することができる}し、概算保険料納付書により都道府県労働局収入官吏、日本銀行又は労働基準監督署収入官吏に納付することによって行う(以下「労災関係申告・納付手続き」)
1:一元適用事業であって労働保険事務組合の事務処理をし委託しないもの(雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業を除く)についての一般保険料
2:労災保険にかかる保険関係が成立している事業のうち二元適用事業についての一般保険料
■適用保健申告・納付手続きの場合
次の概算保険料の申告及び納付は、概算保険料申告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出(当該申告書の提出は、日本銀行を経由することができる)し、概算保険料を納付書により都道府県労働局収入官吏又は日本銀行に納付することによって行う(以下「雇用関係申告・納付手続き」)。
1:一元適用事業であって労働保険事務組合に事務処理を委託するものについての一般保険料
2:一元適用事業であって労働保険事務組合に事務処理を委託しないもののうち雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業についての一般保険料
3:雇用保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業についての一般保険料
※特別加入保険料については、「一元適用事業についての第1種特別加入保険料」のみが、申告書の提出を労働基準監督署を経由して行うことができない。
概算保険料の申告・納付期限
■継続事業の納期限(法15条1項)
継続事業(一括有期事業を含み、以下、特に断りがない限り、同じとする)の事業主は、保健年度ごとに、概算保険料を、その保険年度の6月1日から起算して40日以内(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、当該保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内)に申告・納付しなければならない。したがって、継続事業の場合は、通常、毎年6月1日から7月10日までの間に、概算保険料を申告・納付することとなる。
※例えば、7月1日に保険関係が成立した場合は、7 月1日+50日=7月51日、7月51日-30日=8月21日が納付期限となる。
■有期事業の納付期限(法15条2項)
有期事業(一括有期事業を除き、以下、特に断りがない限り、同じとする)の事業主は、保険関係が成立した日の翌日から起算して20日以内に、概算保険料を申告・納付しなければならない。
印紙保険料の額(法22条1項)
印紙保険料の額は、日雇労働被保険者1人につき、1日当たり、下表の額になる。
11,300円以上:第1種保険料日額176円
8,200円以上11,300円未満:第2種保険料日額146円
8,200未満:第3級保険料日額96円
特別加入保険料の額
■特別加入保険料の額(法13条、法14条、法14条の2)
第1種特別加入保険料、第2種特別加入保険料又は第3種特別加入保険料の額は、特別加入保険料算定基礎額の総額に、第1種特別加入保険料、第2種特別加入保険料又は第3種特別加入保険料を乗じて得た額になる。
■特別加入保険料算定基礎額(則21条、則22条、則23条の2、則別表第4)
特別加入保険料算定基礎額は、その特別加入者の給付基礎日額を365倍にした額になる。例えば、給付基礎日額が20,000円の特別加入者の特別加入保険料算定基礎額は20,000×365=7,300,000円、給付基礎日額が3,500円の特別加入保険料算定基礎額は3,500×365=1,277,500円となる。
■特別加入保険料率(則23条、則別表第5、則23条の3)
すでに述べたように、第1種特別加入保険料率は、中小企業主が行う事業にかかる労災保険率と同一の率になる。また、第2種特別加入保険料率は、事業又は作業の種類に応じ、最低0.4%から最高5.2%の範囲内で、12段階の率が定められている。さらに、第3種特別加入保険料率は、一律に0.5%と定められている。
※第2種特別加入保険料率および第3種特別加入保険料率は、それぞれ、第2種特別加入者及び第3種特別加入者に掛る保険給付及び社会復帰促進など事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわたって、労災保険の事業にかかる財政の均衡を保つことができるものでなければならない。
一般保険料率(法12条1項)
労災保険率は最低1,000分の3(その他の各種事業など)から最高1,000分の103(水力発電施設、ずい道など新設事業)までの範囲で、次の54業種について定められる。
最新情報:労災保険率表(「改定後」は、平成24年4月1日より)|労災保険情報センター
林業>>
0.6%:林業
漁業>>
4.0%:定置網漁業又は海面魚類養殖業
4.1%:海面漁業(定置網漁業又は海面魚類養殖業除く)
鉱業>>
7.0%:採石業
8.7%:金属工業、非金属工業(石灰石鉱業又はドロマイト鉱業除く)またテャ石炭鉱業
2.8%:その他の鉱業
建築事業>>
1.4%:舗装工事業、既設建築物設備工事業、機会装置の組立又は据え付けの事業
1.5%:建築事業(既設建築物設備工事業を除く)
2.1%:道路新設事業、その他の建設事業
2.3%:鉄道又は軌道新設事業
11.8%:水力発電施設、ずい道など新設事業
製造業>>
0.45%:電気機械器具製造業、計量器、光学機械、時計など製造業(電気機械器具製造業除く)
0.5%:印刷又は製本業
0.55%:繊維工業又は繊維製品製造業、貴金属製品、装身具、皮革製品など製造業
0.6%:輸送用機械器具製造業(船舶製造及び修理業除く)
0.65%:タバコなど製造業、化学工業
0.7%:機械器具製造業(電気機械器具製造業、輸送用機械器具製造業、船舶製造又は修理業及び計量器、光学機械、時計など製造業を除く)
0.75%:食品製造業(タバコなど製造業除く)、パルプ又は紙製造業、ガラス又はセメント製造業、金属精錬業(非鉄金属精錬業を除く)、非鉄金属精錬業
0.8%:その他製造業
0.85%:金属材業品製造業(鋳物業除く)、めっき業
0.9%:洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業(めっき業除く)
1.4%:コンクリート製造業、金属製品製造業又は金属加工業(洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業及びめっき業を除く)
1.7%:陶磁器製品製造業
1.8%:木材又は木製品製造業、鋳物業
2.2%:船舶製造又は修理業
2.6%:その他の釜業又は土石製品製造業
運輸業>>
0.55%:交通運輸事業
1.3%:貨物取扱事業(港湾貨物取り扱い事業及び港湾荷役業を除く)、港湾貨物取扱事業(港湾荷役行を除く)
2.3%:港湾荷役業
電気、ガス、水道又は熱供給の事業>>
0.45%:電気、ガス、水道又は熱供給の事業
その他事業>>
0.45%:通信業、放送業、新聞業又は出版業、金融業、保険業又は不動産業
0.5%:卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業
0.65%:ビルメンテナンス業
0.7%:倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業
1.2%:農業又は海面漁業以外の漁業
1.3%:清掃、火葬又は屠畜の事業
0.45%:その他各種事業
■雇用保険率(法12条4項)
雇用保険率は、次のように定められる。
1.35%:一般の事業
1.65%:建設業
賃金総額
■賃金(法2条2項、則3条1項)
徴収法において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われる賃金については、その範囲は、食事、被服及び住居の利益のほか、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長の定めるところによるので、この範囲外のものは除かれる)をいう。
※徴収法上の「賃金」は、退職手当(前払いされるものを除く)、結婚祝い金、死亡弔慰金などについては、支給条件が明確である(就業規則などに基づいて支給される)場合であっても、賃金とみなされない点で労働基準法上の「賃金」となる。
■賃金総額の原則(法11条2項)
賃金総額とは、原則として、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額をいう。
※保険年度内に支払が確定した賃金は、その保険年度内に支払われなかった場合でも、その保険年度の賃金総額に算入する。
■賃金総額の特例(法11条3項、則12条)
1)請負による建設の事業(則13条1項、則別表第2)
労災保険に係る保険関係が成立している請負による建設の事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、請負金額に労務費率を乗じて得た額を賃金総額とする。
賃金総額=請負金額×労務費率
2)立木の伐採の事業(則14条)
労災保険に係る保険関係が成立している立木の伐採の事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、所轄都道府県労働局長が定める素材1立方メートルを生産するために必要な労務費の額に、生産するすべての素材の材積を乗じて得た額を賃金総額とする。
賃金総額=素材1立方メートルあたりの労務費×生産する素材の材積
労災保険に係る保険関係が成立している林業の事業(立木の伐採の事業を除く)又は水産動植物の採捕又は養殖の事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、その事業の労働者につき、厚生労働大臣が定める平均賃金に相当する額に、それぞれの労働者の試用期間の総日数を乗じて得た額の合算額を賃金総額とする。
賃金総額=(厚生労働大臣が定める平均賃金相当額×各労働者の使用期間の総日数)の合算額